つくば市松代地区に建つ小さなパン屋さんを併設する住まいです。南北に細長い敷地形状を反映した大らかなたたずまいで、東道路側に水回りなどを納めた張出しを設けて、住宅側の庭や玄関、それぞれの駐車スペースの独立性を確保しました。みせと住まいをひとつの屋根でおおい、間仕切り建具を開閉することによって、広がりや通風、視線の調節ができるのが特徴です。巾4.5m、長さ19mの2階建ての巾方向の両端には、2.7mごとに60cmと90cmの耐力壁を設けて合理的な構造にするとともに、耐力壁相互間のくぼみには、奥行きに応じた収納やデスク、階段などを納めることで、中央部分に細長い共有スペースを生み出しました。昔から民家の梁(はり)に用いられてきた松の丸太をあらわしにした2.7m間隔のフレームと床仕上げ材の変化や床の段差、天井高さの変化、そして家具屋建具の室礼(しつらえ)などによって、ワンルームでもある室内は、ゆるやかに仕切られて、それぞれの居場所がつくられます。特に2階部分は、家族構成の変化や時々の好みに応じて居場所を交換したり、広げたりしやすいつくりになっています。
また、工事や管理の体制などを工夫することによって、建物本体の坪単価を50万円台に抑えるなど工事費の削減を実現しています。かつ省エネにも配慮し、断熱等級4を獲得しています。