ほうとく認定こども園  2022.03

宇都宮市にある認定こども園。既存園舎は鉄骨造の2階建てでルーフバルコニーがあって、日光連山が良く見えた。今回の計画では自然素材で目に優しく、硬すぎないなどの木の効用を活かした教育環境と、緊急時に安全に避難できる平屋建てが求められた。敷地の東西方向幅が南北に比べて短いため、幼稚園部分は南側の園庭に面する配置にしつつ、保育園部分との間に小さな子供たちの遊び場にもなる中庭を設け、保育園部分へ光と風が届くようにした。郊外の住宅地になじむよう、1.5階建て程度の高さを持つ家型が連続するたたずまいとし、遠くの山々が望める散歩コースとして屋上にデッキを設けた。屋上からは園の三角の家並みが遠くの山々の近景となる。

中庭を囲む廊下状の空間に幅を持たせ、図書コーナーや滑り台などの居場所を設けるとともに、熱交換した中庭の新鮮な空気を保育室に供給すべく開放している。自分たちの場所としての屋根型を支える木の架構は、ムク材を面的に使い力の流れに冗長性のあるパネルトラス梁を、遊戯室は長辺方向にトラス梁を架け渡した。3~5歳児保育室は家形を半分に分けた2部屋で当座は使い、将来は家型の一部屋でも使えるよう、部屋の間は柱のない間仕切壁とした。

構造設計:KMC(蒲池健) 写真:中山保寛