認定こども園N幼稚園は、旧園舎の近隣に土地を求めて移転し、より良い保育環境とすべく木造の新園舎を計画したものです。南北に細長い敷地の中で、すべての保育室を南向きにでき、職員室からの視認性も確保できる形式を模索した結果、保育室と職員室が園庭を取り囲むような扇型の南棟に、夕方以降に使う放課後児童クラブや機能的な給食室を入れ込んだ四角い北棟を組合わせたプランとしました。園庭側のデッキ屋根は2.7mの持ち出しがあって雨の日の遊び場になり、玄関ホールから連続し、円弧と直線で縁取られた、遊戯室の一部にもなる広い廊下状の空間には、図書コーナーや、食育の一環として調理の様子が眺められるベンチがあります。ここでは、廊下のような動線空間も居場所にできるように工夫しています。
木の架構は、扇状のプランを可視化できるよう円弧状の折れ曲がり梁を架け、放射状に入る上側の登り梁と細い下弦材とで挟み込んで立体トラスをつくっています。一段高い遊戯室の屋根は、柱材を現場で積み上げてつくった「積み木トラス」が支えているなど、適材適所の構造計画を心がけました。
(株)ヤモリと共同設計 構造設計:KMC(蒲池健) 写真:中山保寛