9時から15時までは就労継続支援B型と生活介護、15時から18時までは放課後等デイサービスに使う多機能型・通所系の福祉施設。陽光を求めて南に開きたいが、同時に眺望のためには北にも開きたいというような、南側に台地を背負い北側は区画整理された田園風景越しに筑波山を望む、風景のエッジに位置する。例えば障害のある方とない方とで、ものの見方や見る方向が異なるとするなら、両義的な土地の性格を表す意味でも、向きの違う2つのSCOPEのようなボリュームを反対向きに置くことで、異なる視野や見方の併在を表し、ズームイン/ズームアウトといったものごとに対する違った距離感も並置したいと考えた。かつ両者の間に往々にして存在しがちな障壁を、2つのボリュームの間にある斜め壁に見立てた。まずはお互いの違いを理解しようとするところから始めよう、というメッセージであり、密実な柱材等でつくった斜め壁を乗り越えたり、(障)壁の間を行ったり来たりして互いが交流できたらという願いを込めた。そして閉じがちになるきらいのある障害者施設を、ここでは吹抜のたくさんある伸びやかで開かれた佇まいとすることによって、障害者の存在にフォーカスし正しい理解につながることを期待して計画した。
高橋建築構造設計室と共同設計 構造設計:Hafnium Architects 写真:中山保寛